第一話 「お経ってなんだゾウ?」
注目ワード 対機説法」「応病与薬」「成仏

きくぞう君

 むむむ、お経って難しいゾウ。。。何の意味があるんだろう。

住職さん

 そうだね。確かにお経は古い漢文のものばかりだから、よく分からないって人も多いだろうね。

 そうなんだよ?お葬式やご法事で読まれているよね。亡くなった人の為の呪文みたいなものなのかな?
 『良いところに往きますように』みたいな。

 なるほど。そう考える人もいるかもしれないね。一緒に考えてみよう。
 お経は本来、インドのお釈迦(しゃか)さまという方が2500年程前に説かれた教えを元にしているんだ。

 ぞぞぞう!?(※「じぇじぇじぇ」みたいなもの)
 今も残ってるなんてすごいゾウ!

 それだけ色んな時代、色んな立場の人に通じる問題が説かれているって事だろうね。
 その教えがお弟子さんたちによってまとめられ、後に中国にわたり漢訳されるんだ。
 当時お経を訳したお坊さんは沢山いるけど、三蔵法師玄奘(さんぞうほうしげんじょう)は特に有名だよね。西遊記で。

 夏目雅子さんだ!きれいだったゾウ!

 最近だと深津絵里さんも演じていたね。きくぞう君って何歳なの(笑)。
 そうやって中国を通り日本に届けられたものが、今私たちがよんでいるお経なんだ。

 だからお経は漢文なんだね。でもお弟子さん達がまとめたって事はお坊さんのための教えって事?やっぱり難しそうだゾウ・・。

 フフフ。だいじょうぶ。お釈迦さまは勿論お弟子さんたちにも教えを説かれたけど、一般の人々、今で言うご門徒さんにも教えを説いていたんだ。

 修行しているお弟子さんだけでなく、一般の人にも?
みんな難しいって思わなかったの?

 そうだね。確かに当時お弟子さんたちに説かれていた教えは、一般の人たちには難しかったかもしれない。そこでお釈迦さまは考えられたんだ。「対機説法(たいきせっぽう)」っていうんだけどね。『機』はお経の言葉で人のこと。お釈迦さまは、聞く人の素質や能力によって、それぞれに理解しやすい方法でお経を説かれたんだ。
 この方法は、お医者さんが患者さんの病に応じてお薬を与える事とよく似てるから「応病与薬(おうびょうよやく)」とも言われているよ。

 なるほど!・・・・・・んん?
 でもそれだと、たくさんのお経が出てきちゃうゾウ?

 いいことに気付いたね。そう!このお釈迦さまの法を説く姿勢が、仏教に沢山のお経があり多くの宗派が存在している、大きな要因の一つになっていると思うんだ。この点(聖典が多数ある点)は他の世界宗教のキリスト教(聖書)やイスラム教(コーラン)とは大きく違うよね。
 その教えの数は、なんと!!八万四千の法門とも伝えられているよ。そして重要なのは、その全てが、私たちが「仏に成る事(成仏)」を目的とした教えという事なんだ。ここでいう「仏に成る」っていうのは・・・・・・ん?

 8万4000!!想像しただけで・・気が遠く・・なるゾウ・・(かくっ)Zzz

 今日はこれくらいにしとこうか(^^;

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<よければこちらも!補足コーナー>
 まず前提として。お経は亡くなられた方に対する呪文のようなものではなく、今生きる私たちに向け説かれた教えです。一口にお経といっても様々な種類があります。人によっては全く異なる教えが説かれていると感じる事もあるでしょうし、混乱する事もあるかもしれません(膨大なお経が存在する理由に関しては、過去仏教界でも様々な議論が為されてきました。この事については別の機会にも少し触れたいと思います)。しかし、あくまで仏教は「(私が)仏に成ること」を目的とした教えです。この点は全てのお経に通じます。
 例えば『法華経(ほけきょう)』や『大日経(だいにちきょう)』、或いは『般若経典群(はんにゃきょうてんぐん)』を中心におく宗派もありますし、禅の行法に重きをおく宗派もあります。私たちの宗派 浄土真宗は『浄土経典』やお念仏を中心においています。どれが優れているという話ではなく、仏に至るための道が、人の性質に合わせ、様々な形や手段で現れているということなのだと思います。
 では、目指すべき対象である「仏」とは何なのか?次話はこの事について、きくぞう君と一緒に考えてみたいと思います。

なんまんだぶ。